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見る度に様々な気づきがある攻殻機動隊なんですけど、攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIGのクゼの話が、今 非常に大切な気がして文字におこしてみました。今のネット社会に照らし合わせて考えてみると面白いかもしれません。原作やアニメを知らなくてもこの部分は何か感じる部分があるのではないでしょうか。クゼと難民街の老人、クゼと草薙素子の話をまとめてみました。


クゼ「水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる。思想ウィルスを乖離し、出島に戻った俺に難民の多くが結線し始めました。俺はその時から彼らの意思を重視し、彼らの望みに助力することだけを唯一の行動原理と決めた。それで彼らのリーダーになることは、さほど難しくなかった。」

クゼ「それ意外の意識にはフィルタリングをかけ、絶えず結線してくる難民の意識を俺の抱く理想と並列化できるように努める。人は本来、他者の介在があってはじめて存在しうるものだということを難民に教えられた。」

老人「自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に重りをのせなくば、社会の規則に従いしも、自身を失うことなし。」

クゼ「その普遍的な思想がとても口当たりの良いものに感じられました。しかし、その難民も一度ネットを介しヒエラルキーの上層の存在を知ると、そのことを忘れ、みな低きに流れていってしまう。力を持てば、それを固持したくなる。武器を持てば一度は使ってみたくなるのと同様に」

老人「それが分かっていて、なぜ事態をここまで引っぱった。革命などという世迷い言が簡単に成就できると本気で考えていたのか?」

クゼ「いいえ、ですが俺が考える革命はもう少し先にある。今はその革命のゴールである上部構造に人々を向かわせるための前段階だと考えています。今この地上を覆い尽くさんとしているネットワークはすでに下部構造と化し本来の目的を終え、別義を創造している。」

クゼ「そこからは不可分ながら土台たる下部構造に対し、確実に真偽ある反作用を及ぼす存在となり上部構造へとシフトする。それが俺の考える革命の定義です。(この思想を難民達と)潜在的には共有しているはずですが、具体的にはまだ…」

クゼ「俺がイメージする革命・解放。人の上部構造への移行。硬化したシステムを捨て、人とネットとが融合するということだ。」

クゼ「俺は半島での出来事で人生を達観した、矛盾した秩序、強者による搾取、腐敗した構造、だが最も俺をがっかりさせたのは人々の無責任さだった。自分では何も生み出すこともなく、何も理解していないのに、自分に取って都合のいい情報を見つけるといち早くそれを取り込み踊らされてしまう集団」

クゼ「ネットというインフラを食いつぶす動機なき行為が、どんな無責任な結果をもたらそうとも何の責任も感じないもの達。俺の革命とはそういった人間への復讐でもある。」

クゼ「俺は子供の頃から全身疑体だった為に、心と体の不一致を絶えず感じていて、出来ることなら不自由な体を捨てネットの海へ漕ぎ出したいと考えていた。そんな俺にアジア難民達は少なからず生きる希望を与えてくれた。彼らは俺の作り物の顔をとてもいい顔だと言い、ゴーストが顔に表れているのだと褒めてくれた。俺はその時はじめて心と体は不可分な存在なのではないかと実感し、自分も肉体を持つ人間なのだと思うことが出来た。だが、そんな彼らも口当たりのいい情報に出会うと、やはり都合のいい方向へと簡単に流れて行ってしまう。人間は元々、低きに流れるように出来ているものらしい。」

クゼ「(復讐をどう果たす?)俺に結線してきているもの達の記憶とゴーストをネット上に運びさる。核が投下されれば、それで彼らも肉体を喪失するが強制的な進化を遂げる可能性が手に入る。そして先駆者として下部構造に残ったものに対し絶えず上部構造を意識させ啓発していく存在にはなれるだろう。太古の昔から人類が霊的なものに対し、尊敬や畏怖を感じてきたように。(それが復讐と救済か?)俺は革命と信じているがね。」



しかし、この革命も失敗に終わりクゼは権力者に殺されてしまう…。

権力者「コントロールできないカリスマはいらない。従順な消費者がいればそれでいい。」